木口ディフューザー

音を、散らす。
木口ディフューザー

端材の「木口」(年輪が見える切り口)を、長さをランダムに変えて並べた、壁掛けの音響拡散パネルです。部屋の響きを整えるためのパネルで、見た目はそのまま壁のアートになります。

音を「減らす」のではなく、「散らす」

防音室の内装には、音を吸う「吸音材」がよく使われます。吸音は響きを減らしますが、使いすぎると部屋が「こもった」「デッドな」音になりがちです。
ディフューザー(拡散体)は逆に、音をいろいろな方向に散らして、響きに自然な広がりを残します。平らな壁に当たった音は、ほぼ同じ向きにそろって跳ね返ります。高さのちがう面が並んでいると、跳ね返るタイミングと向きがばらけて、音が散ります。

平らな壁と木口ディフューザーで、音の跳ね返り方がちがう図

※ 図は考え方を示した模式図です。実際の効果は、部屋の広さ・置く位置・組み合わせる吸音材によって変わります。

この形になった理由

1高さを40〜100mmの7段に変えています
音は、高さのちがう面に当たると、跳ね返る時間がずれます。ずれが大きいほど、低めの音まで散らしやすくなります。高低差は60mmで、設計上は約1.4kHzから上の音を散らすことを狙っています。差を広げるほど低い音に近づきますが、厚みと重さが増えるため、60mmを選びました。

2並びを、わざとランダムにしています
規則的に並べると、その規則に合う特定の音だけが強く跳ね返る場所ができます。そのため、高さをランダムに配置し、上下左右と斜めで同じ高さが隣り合わないようにしました。

330mm角の細かい角材です
面が細かいほど、高めの音まで散らせます。30mm角では、設計上の上限は約5.7kHzです。ボーカルの子音やシンバルの高域など、きつく聞こえやすい帯域をなだらかにすることを狙っています。

4木口(切り口)を表にしています
木口は年輪が見える面です。光が当たると、一本ごとに表情の違う陰影が出ます。壁に付けるだけでインテリアとして映えるよう、見せる面を木口にしました。

5自社工場の端材を使っています
防音室づくりで出る角材(LVL)の端材を、使い切りで活用しています。長さを切りそろえるだけなので、素材にむだがありません。

オーディオ・音楽好きのかたへ
響きを「殺さず」、濁りだけを整える

吸音材を足していくと、ある日ふと気づきます。静かで、整っていて、でも少しだけ寂しい音になっている、と。
音楽の艶、空気感、余韻のきめの多くは、部屋が返してくれる反射音の中にあります。かといって、何もしなければ、向かい合った壁の間で音が往復して、手を叩くと金属的な尾を引く。
「減らす」か「残す」か。拡散体は、その二択をほどくための道具です。

音を消すのではなく、音の「行き先」を設計する。

1吸音だけの部屋が、失いやすいもの
反射音をすべて吸うと、ノイズや濁りは減ります。同時に、余韻の細やかさや「その場で鳴っている」感じまで薄くなることがあります。いわゆる「デッドな部屋」です。録音ブースやナレーションには向いていても、音楽を楽しむ部屋では物足りなく感じる方もいます。

2拡散体がめざしていること
一般に拡散体は、音のエネルギーを減らさずに、反射の向きとタイミングをばらします。そのため、次のような変化をねらった使い方をされます。
・向かい合った壁の間で起きる「鳴き」(フラッターエコー)を、やわらげる
・特定の方向だけ強く返ってくる反射を、散らして目立たなくする
・反射音が一点に集まらず部屋全体に広がることで、響きのきめを整え、音場の広がりを損ないにくくする
その結果、「静かだが味気ない」ではなく、「響きは残るが、濁りが少ない」方向をめざします。

3置き場所の考え方(一般的な目安)
・リスニングポジションの背面の壁は、拡散体の定番の置き場所です。自分の後ろから戻ってくる強い反射を、散らします。
・左右の壁の、スピーカーの音が最初に当たる位置(一次反射点)は、まず吸音を考え、部屋に余裕があれば拡散を組み合わせます。
・天井や、スピーカーの後ろの壁も候補です。
・吸音と拡散は敵ではありません。「吸う面」と「散らす面」を組み合わせて、響きの量と質を調整します。
最適な配置は、部屋の広さ・形・機材・好みで変わります。

4低音は、別の仕事です
木口ディフューザーが得意なのは、中高域です(設計上は約1.4kHz以上)。100Hz前後の低域のこもりや、定在波は、パネルの置き方では動かせません。そちらは、バストラップや機器の配置、リスニング位置の調整の領域です。得意な帯域を絞っている分、効かせたい場所が明確になります。

5壁を、機材ではなく「景色」にする
アンプ、スピーカー、レコード。その背後に、年輪の見える木口が並ぶと、暖色の照明で一本ごとに陰影が変わります。オーディオルームの壁が、「対策の跡」ではなく、部屋の主役のひとつになります。ブラックのラックにも、ヴィンテージのウッドにも合わせやすい素材です。

6まず、手を一回叩いてみてください
部屋の中央で、パンと手を叩きます。「ビーン」「ピーン」と、金属的な尾が一瞬残るなら、向かい合った壁の間で音が往復している(フラッターエコー)サインです。拡散体や吸音材で、この尾がどう変わるかは、いちばん手軽な確かめ方です。

※ ここでの効果は、拡散体について一般に知られている働きと、設計上のねらいを説明したものです。体感は、部屋・機器・聴く音楽・個人差で変わり、特定の効果をお約束するものではありません。当社の実測データは測定中で、取れ次第ここに記載します。

こんな場面に

仕様(試作段階)

角材LVL(単板積層材) 30×30mm・木口を表
長さ40/50/60/70/80/90/100mm の7段(高低差60mm)
ベース合板 9mm
全体の厚み最大 約109mm
サイズ(案)300×900 / 600×300 / 600×1200 / 600×1500 mm ほか(横長・縦長対応)
重さの目安300×900mmで約11kg(サイズに比例)
取り付け壁の下地へ固定(施工方法は確定中)
価格未定

ご注意

・これは「響きを整える」ための部材で、防音(遮音)の性能はありません。音もれを減らす製品ではありません。
・拡散の効果は、部屋の広さ、置く位置、組み合わせる吸音材によって変わります。上記の数値は設計上の目安で、実測値ではありません。実測データは測定中で、取れ次第ここに記載します。
・無垢の木材を使うため、可燃物です。設置場所や面積は、建物の管理者や消防の基準に従ってください。
・天然木材のため、色や木目は一枚ごとにちがいます。